ネモフィラの育て方と栽培記録

 

ネモフィラの育て方


今回は、ネモフィラの詳しい育て方を解説し、実際に我が家で育てたネモフィラ〈ペニーブラック〉の栽培レポートをお送りします。

ネモフィラというと、国営ひたち海浜公園をはじめとした公共施設などで栽培されたネモフィラ畑が有名ですね。(→国営ひたち海浜公園のネモフィラ畑レポートはこちら)

ネモフィラは、その繊細で可憐な花姿のわりに、とっても育てやすく、ご家庭でもぜひ挑戦してもらいたい植物なんです。

一般的には、インシグニスという種類の空色が美しい花姿で知られていますが、本記事でご紹介するペニーブラックやマクラータという種類のネモフィラも愛らしくておすすめです。


みなさんのお花選びの参考になればと思い、以下の点に着目して成長過程をお伝えしていきます。
どのくらいの成長スピードなのか?
どのくらい大きくなるのか?
どのくらいの間、花が咲くのか?
暑い夏や、寒い冬に枯れてしまわないのか?
常緑なのか?
いつ芽吹くのか
種や実はどのくらいとれるのか?
私の住まいは千葉県ですので、関東・東海にお住まいの方は特に参考になるかと思います。

それでは、見ていきましょう。


ネモフィラの特徴

開花期は3月~5月で、花が終わると枯れ、夏越しはしません。
寒さに強くとても丈夫なため、初心者の方でも簡単に育てることができる一年草です。
草丈は30㎝程で、ほふく性といって横に広がる性質を持つため、グランドカバー植物としても人気があります。

また、ネモフィラは、各地で春の風物詩となりつつあるネモフィラ畑でも有名ですね。
開花期には空とネモフィラの畑の境界がうっすらと青くかすみ、とても幻想的な風景を楽しむことができます。

今年の見頃期に、国営ひたち海浜公園のネモフィラ畑へ行ってきたので、ご興味のある方は下のリンクよりご覧いただけます。

ネモフィラの花言葉

ネモフィラの花言葉は、「可憐」「どこでも成功」「あなたを許す」などがあります。

ネモフィラの原産地はアメリカですが、ヨーロッパに渡ってからもしっかりと根付いたことから「どこでも成功」という花言葉がつけられたそうです。
日本でも、とても育てやすく有名になりましたから、うなづけますね。

「可憐」は、その見た目から、「あなたを許す」はギリシャ神話が由来です。

ネモフィラの種類


ネモフィラ・インシグニスブルー

ネモフィラ・インシグニスブルー
最も一般的にみられる花形です。
白と空色のグラデーションが美しいですね。


ネモフィラ・ペニーブラック

ネモフィラ・ペニーブラック
シックで可憐な花形です。
紫色に近いブラックが、
お庭の素敵なアクセントになります。


ネモフィラ・マクラータ

ネモフィラ・マクラータ
小さなネイビーの水玉模様が愛らしいですね。
和風なお庭にも相性が良さそうです。


ネモフィラ・プラチナスカイ

ネモフィラ・プラチナスカイ
空色の花弁をみると、
インシグニスブルーによく似ていますが、
こちらはリーフがシルバー色をしています。
お庭がパッと明るくなり、
一気にこなれ感が出ますね。


ネモフィラの栽培カレンダー

ネモフィラの栽培カレンダー

ネモフィラの育て方条件


日当たり

日当たりがよく、風通しの良いところが適しています。
半日くらい日の当たる場所でも栽培可能ですが、花付きを良くするためには、日当たりの良い場所で育てましょう。

種まきの時期・生育適温

発芽適温は、18℃~20℃です。
暖地の場合は、秋まきの9月~10月寒地の場合は、春まきがおすすめです。
ネモフィラは、兼光性種子のため、種まきをしたら軽く土をかけて種に光が当たらないように注意しましょう。
また、直根性の植物であるため、直まきが適しています。

11月頃までに本葉が数枚育ち、冬の間は成長が止まったように見えますが、春になるとぐんぐん成長します。

生育適温は5℃~25℃です。
寒さに強いので暖地でしたら地植えで冬越しが可能です。
しかし、霜にあたると枯れてしまうことがあるので、5℃を下回る地域では防寒対策をしておくと良いでしょう。

苗の選び方・植える時期

苗の選び方としては、リーフの緑が生き生きとしていて、徒長していない、茎のしっかりしたものを選ぶと良いでしょう
種まきの際にも触れましたが、直根性の植物であるため、移植を嫌います。
なるべく花をつける前の若い苗を選ぶ方が、移植ダメージからの回復が早く、スムーズに根付きしてくれます。

ネモフィラの苗は、1月頃から店頭に並び始めます。
根の動き出す4月前までには植え付けをすませてしまうと安心です。

直根性について

主根がまっすぐ下に伸び、根の枝分かれが比較的少ない植物のことをいいます。
移植の際などに少しでも主根を傷つけてしまうと、根付かず枯れてしまうことがあるので、注意が必要です。
苗を購入した際は、根をほぐさず、傷つかないよう丁寧に扱い、そのまま植え込みたい場所に埋めるようにしましょう。

栽培に節した土

水はけがよく、乾燥気味で肥料の少ない土壌が適しています。
一般的な草花用の培養土で大丈夫ですが、肥料分が多いと葉が茂ってしまい、花の景観が悪くなってしまうので、注意が必要です。

水やり

乾燥した土壌を好むので、鉢植えの場合は土の表面が白く乾いてきたら、水やりをします。
地植えの場合は、根付いた後であれば降雨のみで特別管理は必要ありません。
よっぽど日照が強く、しおれてしまいそうなときのみ水やりをします。
加湿による蒸れに弱いので、水をやりすぎないよう、乾かし気味に管理するのが良いでしょう。

花がら摘み・切り戻し

花がらを小まめに摘むことで、花数を増やし、開花期を伸ばすことが出来ます。
種を採種したい場合は、花を結実させなければいけないので、花柄を摘むものと結実させるものをきめ、バランスをとると良いでしょう。

切り戻しをすることでも、花数を増やすことが出来ます。
しかし、ネモフィラは、もともと背の低い植物なので、頭頂部を1節摘心するくらいにし、根元に2~3節残るように調整しましょう。

冬越し・夏越し

耐寒性があるので、寒さには強いですが、霜にあたると葉が腐ってしまうことがあります。
マルチングや、不織布で覆うなどして防寒対策をすると安心です。

暑さや蒸れに弱いため、花がら摘みを小まめに行い、乾燥気味に育てると長持ちします。
結実してくると枯れ、夏越しはしません。

肥料

肥料を与えすぎると、葉が茂り花の景観を損ねるため、肥料は少なめに与えましょう。
元肥のみで、特に追肥の必要はないでしょう。
元々肥料が入っている培養土の場合は、元肥も必要ありません。

病害虫

ネモフィラによくみられる病気

灰色カビ病うどん粉病
どちらも多湿条件下の群れが原因になります。
花がら摘みを小まめに行い、枯れた葉を取り除いたり、込み合った枝を間引いたりしてあげることで、予防することが出来ます。

ネモフィラによく付く虫

アブラムシ
春先の新芽が動き出す時期や、蕾ができ始めた時期に多い印象です。
放っておくと大量に増殖するので、早めに対処しましょう。


ネモフィラ〈ペニーブラック〉の栽培レポート


ネモフィラの種まき

ネモフィラ〈ペニーブラック〉種
ネモフィラ〈ペニーブラック〉の種
メルカリにて300円前後で購入しました。


ネモフィラ〈ペニーブラック〉種まき
2022年9月12日  ネモフィラ〈ペニーブラック〉の種まき
花壇や空いた植木鉢にパラパラといろいろな場所に直まきしました。
この場所は日当たりが悪く、別の植物が茂ってしまい、
ネモフィラはあまり大きくなりませんでした。


ネモフィラの栽培管理

9月12日に種まきをしてから、毎日様子を見るも一向に芽を出しませんでした。
10月、11月と観察を続けるも芽が出る気配はなく、すっかり忘れて3月に入ったころ、花壇のいたるところで、ネモフィラが芽吹きはじめていることに気が付きました。
種まきの際に十分な土がかかっておらず、秋の発芽適温期を逃してしまったのかもしれません。


ネモフィラ・ペニーブラックの苗
3月5日 ネモフィラ〈ペニーブラック〉の発芽
すでに本葉が出て、大きくなり始めていました。


ネモフィラ・ペニーブラックの発芽
上の写真を拡大すると、
出てきたばかりの双葉と本葉も確認できます。


あまり水はけの良い土地ではなかったので、ほとんど水やりは行わず、降雨に任せっぱなしでしたが、順調に葉を茂らせていきました。


ネモフィラ・ペニーブラックの蕾
4月2日 ネモフィラ〈ペニーブラック〉の蕾
葉が茂り、白いつぼみが!
このころから、株によっては
アブラムシが付くようになったので、
ベニカXファインスプレーで
殺虫と防虫を行いました。

ネモフィラの開花

ネモフィラ・ペニーブラックの開花
4月6日 ネモフィラ〈ペニーブラック〉の開花
一番花が開花しました!

ネモフィラ・ペニーブラックの花
4月24日 ネモフィラ〈ペニーブラック〉の花
株も大きく育ち、
花もたくさん出てきました。
色も落ち着いていて、花も大きすぎず
自然な雰囲気がいいですね。


【まとめ】ネモフィラの育て方5つのコツ


ネモフィラ育て方のコツ①種まきの後はしっかり土をかぶせて

ネモフィラは兼光性種子なので、種に光が当たっていると発芽しません。
種まきの後は十分に土をかぶせましょう。
そうしないと、筆者のように秋にまいた種が、春に発芽してしまうかもしれません。

ネモフィラ育て方のコツ②植え替えの時期は花の付く前

ネモフィラは直根性植物なので、本来は直まきが適しています。
しかし、苗を購入し植え付ける場合は、根が動き出す前の3月中に済ませてしまいましょう。
花がついてからだと、移植の際に傷ついた根を修復することができず、枯れてしまうことがあります。

植え替えの際も、なるべく根を触らないよう、ポットから出したら崩さずそのまま埋めましょう。

ネモフィラ育て方のコツ③水のやりすぎに注意

ネモフィラは、多湿条件下になると、灰色カビ病やうどん粉病を発生しやすくなります。
なるべく乾燥気味に育て、葉が蒸れないように注意しましょう。

ネモフィラ育て方のコツ④アブラムシの対処は早めに

蕾の付き始める4月頃になると、外気も暖かくなり、虫の活動が活発化してきます。
最初は数匹でも放っておくととんでもない数になってしまうのが、アブラムシ。
また、アブラムシの尿は糖分を含みべとべとしているので、他の虫を誘い込むだけでなく、葉の気孔をふさぎ、植物の成長まで阻害してしまいます。
見つけたら早めに対処しましょう。

ネモフィラ育て方のコツ⑤花がら摘みで花数を増やそう

小まめに花がらを摘むことで、次から次へと蕾が成長します。
また、多湿条件下に陥りにくくなるので、病気予防にもつながり、株を健康に長持ちさせることが出来ます。


いかがでしたでしょうか。
とても手軽なのに、可愛らしくお庭を彩ってくれるネモフィラ。
来年もこぼれ種で発芽してくれることを願います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。