イチジクの剪定方法
イチジクはクワ科・イチジク科に分類される果樹です。イチジクは下記の理由から、家庭で手軽に栽培できる果物として人気です。
- 生食でもおいしい
- 簡単に育てられる
- 植え付け2年目で収穫できる
- 1本で収穫できる
- 地植えでも鉢植えでも育てられる
ただし、あまくておいしいイチジクをたくさん収穫するためには、適切な剪定が必要です。樹齢や品種よっても剪定方法が変わりますし、誤った剪定を行うと、実が生らなくなってしまいます。正しい剪定方法で花付きが良くし、毎年たくさんの無花果を収穫しましょう。
あなたの無花果に合う剪定方法を、下記の順で確認していきましょう。
- ①イチジクの樹齢を確認しよう
- ②剪定時期を確認しよう
- ③イチジクの仕立て方を決めよう
- ④イチジクの剪定のコツを確認しよう
- ⑤イチジクの間引き剪定をしよう
- ⑥夏果のイチジクの剪定
- ⑦秋果のイチジクの剪定
- ⑧夏秋兼用果のイチジクの剪定
- ⑨リフレッシュ剪定
①イチジクの樹齢を確認しよう
イチジクは、植え付けから2~3年目で収穫はできますが、植え付け3年目までは大人のイチジクと同じような剪定は必要ありません。あなたが育てているイチジクが若木の場合は、仕立て方を決め、枝を誘引して樹形を整えましょう。
植え付け3年目以下
「③イチジクの仕立て方を決めよう」を参照し、樹形を整えましょう。
植え付け4年目以上
以下の解説②~⑩に沿って、イチジクの剪定を行いましょう。
②イチジクの剪定時期を確認しよう
イチジクの剪定の適期は12月〜2月です。落葉したあとの休眠期間に剪定しましょう。この時期は果樹が休眠している状態なので、剪定によるダメージが最小限に抑えられるのです。
③イチジクの仕立て方を決めよう
イチジクは剪定をしないと上へ上へと伸びていきますが、剪定によって庭のスペースや用途に合わせて樹形を整えることが可能です。農家は1本の果樹からなるべく多くの果実を収穫するために「一文字仕立て」という樹形に仕立てます。ただし、「一文字仕立て」はスペースが必要で、誘引も難しいので一般家庭にはおすすめできません。私は、一般家庭の方には手軽にできる「杯状仕立て」をおすすめします。「杯状仕立て」も十分にイチジクを収穫できますし、狭いスペースでも栽培できます。
農家向けの仕立て方「一文字仕立て」
幹から主枝を左右に分け、水平に広く伸ばす樹形です。果樹がコンパクトにまとまり、低い位置により多くの実がつくため、収穫作業が楽にできます。
1年目の冬:主軸にする枝を2本残し、他の枝は剪定する
2年目の冬:主軸2本を半分の長さに剪定し、枝を水平に誘引する
一般家庭向けの仕立て方「杯状仕立て」
ワイングラスのような形に枝を分枝させる仕立て方です。狭いスペースでも栽培でき、自然樹形に近いので、イチジクの剪定が簡単です。
1年目の冬:高さ50cmの箇所で主幹を剪定し、枝の分岐を促す
2年目の冬:幹から生えた主枝を四方に4本残して剪定する
※残した枝は水平に伸びるように誘引するとより良い
④イチジクの剪定のコツを確認しよう
④ー1イチジクの剪定のコツ
イチジクは品種によって以下の3種類に分けられます。種類によって適切な剪定が異なるので、注意が必要です。誤って花芽を切ってしまうと、果実が生らなくなってしまいます。イチジクの種類を確認して、適切な剪定を行いましょう。
- 夏果専用種:前年についた花芽に果実が生る(ビオレドーフィン、ザ・キング、サンペドロミロ、コナドリア等)
- 秋果専用種:その年に伸びた枝に花芽がつき果実が生る(蓬莱柿(ほうらいし)、久留米くろあま、ゼブラスイート、バローネ、イスラエル、セレスト、ビオレソリエス等)
- 夏秋兼用種:1、2どちらの性質も有する(桝井ドーフィン、とよみつひめ、ホワイトゼノア、ブラウンターキー、アーティナ、カリフォルニアブラック等)
④ー2イチジクの剪定のコツ
余裕があれば、剪定後の切り口には癒合剤(ゆごうざい)を塗りましょう。雑菌の侵入を防ぎ病気にかからなくしたり、水分や養分の流出を防ぐことができます。
⑤イチジクの間引き剪定をしよう
間引き剪定はすべての種のイチジクに行う剪定です。不要な枝を間引き、日当たりや風通しを良くすると、病害虫を予防できます。
間引き剪定を行うイチジクの枝
- 下側、内側に伸びる枝
- 他の枝と重なる、絡まる枝
- 勢いよく上に伸びる徒長した枝
- 1か所から3本以上生えている枝
⑥夏果のイチジクの剪定
夏果のイチジクは前年に伸びた枝に花芽が付き、翌年に実が生ります。つまり、たくさん剪定すると、今年の花芽と来年の花芽を落としてしまうので、あまり収穫できなくなってしまいます。夏果のイチジクは主に「樹形を仕立てるための剪定」、「間引き剪定」を行いましょう。それ例外には、1つの枝に5~8個の花芽を残し、枝の先端を切り戻す程度にしましょう。すると、剪定箇所から枝が伸び、2年後に花芽をつけることができます。
ちなみに、イチジクの枝は、1年目は緑色ですが、2年目は茶色になります。見分けるときに参考にしてください。
⑦秋果のイチジクの剪定
秋果のイチジクは、その年に伸びた新枝に花芽・果実が生ります。そのため、強剪定を行い、新枝の成長を促しましょう。具体的には、2年目の茶色い枝に花芽を2~3芽だけ残して剪定しましょう。そこから新梢が伸び、花芽がつき、秋に果実を収穫できます。
⑧夏秋兼用果のイチジクの剪定
夏秋兼用果は夏果のイチジクと秋果のイチジクの両方の性質があります。夏果は2年目の枝に、秋果はその年の新枝に生ります。夏果、秋果どちらも収穫するためには、2年目の枝と1年目の枝をバランス良く残しながら剪定しましょう。
よく分からない方は、とりあえず枝を残しておけば大丈夫です。つまり、夏果と同様の剪定「樹形を仕立てるための剪定」、「間引き剪定」の2つを行いましょう。
⑨リフレッシュ剪定
イチジクの主枝を入れ替え、木を若い状態に保つ剪定方法をリフレッシュ剪定と言います。生育促進や果実の品質の向上などの効果があるとされおり、収益向上のために主に農家が行う剪定方法です。リフレッシュ剪定は、主枝を剪定するために、イチジクの木へのダメージが大きく、枯れてしまう可能性があります。一般家庭の方がリフレッシュ剪定を行う場合は、主枝の候補があり、樹高が高くなりすぎたなどの強剪定を行いたい場合に限り、リフレッシュ剪定を行うことをおすすめします。
イチジクの剪定方法まとめ
- イチジクの樹齢に応じた剪定を行いましょう
- イチジクは12月~2月に剪定しましょう
- 一般家庭の方は「杯状仕立て」の樹形がおすすめ
- 剪定するイチジクの種類(夏果・秋果・夏秋兼用果)を確認しましょう
- イチジクの種類に応じて適切な剪定を行いましょう